空色パレット
息ができなくて、苦しかった。

でも、必死な笹河をただ見つめることしかできなくて。


もう、自分が何をしているのかさえ…わからなくなってきた。



頭の中が真っ白。



離れようとしない唇に軽く指先で触れた。



「ん?」



ん?って。

息できなくない?



あたしが何も言わないとわかると、また濃いキスをしてきた。


何もかも奪われそうな勢いだった。


薄い唇が、あたしのぷくっとした唇に何度も何度も重ねてきた。



嫌とは言えなかった。


それ以上を望んでいたのかもしれない。



『続きが欲しい』



言えない、そんなこと。



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