空色パレット
もうーっ。
離しなさいよぉっ。


「なぁ、お前ってさぁ」


耳元でささやかれて、ますます顔が赤くなるあたし。

絶対わざとだよっ。あたしが耳弱いの知っててやってるんだ。


「まだ着かないんですか!?」


笹河を遠ざけながら叫ぶように言った。

早く着いてほしい。


「あそこ」


すっごい近いのに、どうしてこんなに時間がかかったのよ。

笹河が、わざと遅く歩いているからだ。


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