幸せを探して
《ピピピピピッ、ピピピピピッ》
正確に時刻を知らせる目覚まし時計。
いよいよ今日は入試当日。
珍しく、目覚まし時計が鳴る前から目は覚めていた。
「…………起きなきゃ。」
ドクン、ドクン
「………やだ、もう緊張してんのかな。」
ドクン、ドクン
ベッドから起き上がると、余計に体の異変を感じた。
気分が優れない。
でも、だからと言って入試を休む訳にはいかない。
私は気合いを入れて一階へと降りて行った。
「おはよう、未来。眠れた?」
キッチンに立つお母さんは、朝食とお弁当を作っていた。
「んー、まぁね。」
気の抜けた返事。
包丁を置いて振り返ったお母さんは、少し心配そうな顔をしている。
「未来、顔色悪いわよ。大丈夫?」
「平気。緊張してんだよ。それよりお弁当、ヨロシクね。顔洗ってくる。」
そう言って洗面所へ歩いていくと、
「そう?ならいいけど……。」
と少し心配そうにしつつ、お弁当作りを再開する音が聞こえてきた。