幸せを探して
いよいよ本番。
説明を聞きながら、配られた入試問題に目を通す。
何コレ、全然分かんない。こんなの習ったっけ?と頭を捻りたくなる問題。
そんな私を置き去りにするかの如く、周りにいる生徒は鉛筆を走らせる。
取り敢えず名前と受験番号、それから……
試験とは解ける問題から手をつけるのが鉄則らしい。
後は時間配分なんて考えずに、ひたすら問題とにらめっこ。
鉛筆を置く音がちらほら聞こえてこようが、私はチャイムが鳴るまで粘った。
《キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン………》
集められる答案用紙。
一時間目の試験は、何とか無事終了。
しかし、短い休み時間中に気分は急激に悪くなっていく。
監督していた教師に「体調を崩した」と伝えれば、肩を支えられながら保健室へと案内された。
そこには先客がいて、ベッドに座る生徒が一人。
「熱があるわね。次の試験からはここで受けて。終わったら横になっていいから。」
「はい。」
まさか保健室で受ける事になるとは思いもしなかった。
体調には気をつけていたのに、と情けなくなってくる。
でも、今さら足掻いてもどうにもならない。
初めての入試は保健室。
なんとも悲しい思い出と化した。