消え行く花のように


とりあえず、胸のふくらみすらまだ僅かな、細く痩せたその身体にシーツをかけてやり、口を縛っていた布を解いてやる。

次いで手首の紐を解こうと手を伸ばし、少し俺の手が触れた瞬間……

初めて少女は身体をピクリと震わせた。

「怖いか?」

目の前でたった今人を殺した人間だ。怖くても当然だと思いながら問い掛けると、

「ううん」

意外にも少女は首を横に振り、解かれて自由になったその小さな手で俺の手に触れて

「手が……冷たかったの」

一言、ポツリとそう言った。

(かわった子供だな?)

俺は首をかしげながら、手の紐を解いてやり、足の紐へと取り掛かった。




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