消え行く花のように


別に、珍しい話ではない。

長く続く隣国との争いと、そんな状況への反発から度々起こる内乱によって、国は荒らされ、多くの人間のいのちを奪った。
町は焼かれ、身内を亡くした子供も多い。

「まぁ、居心地は悪いだろうが俺ひとりしかいない、しばらく此処にいてかまわない。外よりはましだろうからな 」

そう言うと、少女は少しホッとしたような表情を浮かべた。

「心配するな、拾った以上面倒は見るさ 」

懐から煙草を取りだし、火をつける。

ふぅ、と煙を吐きながら、目の前でミルクをすする少女を眺めた。



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