消え行く花のように
「もういい、しゃべるな」
胸を締め付ける痛みをこらえながら制したが、リエルは話すことをやめなかった。
「色々……聞かれて……ひどいことばかり言うの……ジュードのこと……」
リエルの瞳から、一筋、涙が伝った。
「わたし……逃げた……そしたら、そのひと……銃で……わたしを……」
「軍は逆らうものには容赦しないもの」
傍らでずっと俺たちを見ていたミカエルが当然のようにつぶやく。
怒りに捕らわれそうになるのをこらえ、その声を無視してリエルの声に耳を傾ける。
「撃たれたけど……逃げて……隠れてた……どうしても……ジュードに……会いたくて……」
懸命に笑みを浮かべる様が痛々しい。
「心配……だったの……」
最後の力をふりしぼるように、リエルは俺の手を握り返した。