愛してるのに愛せない
「彩…頭がプリンみたいだな」
「えっ?」
プリン…?
「いや、彩…髪の毛がプリンみたいな色になってるから…」
なんだ……そういうことかぁ…
なんかドキドキしたあたしがバカみたいじゃん…
でも…確かに染め直してないなぁ…
あたしが金髪にしたのは、誰もあたしに近づかないようにするためだった…
でも、今は近づかないようにする必要もない…
「染め直さないの?」
「うん。黒髪に戻す」
「ふーん…」
しばらくの間、大輝のポテチを食べる音だけが部屋に響いた。
その沈黙を破ったのは海斗だった。
「そういえば…もうすぐ夏祭りやるんだよな…」
海斗が呟くように言った。
その海斗のセリフで、長い沈黙が嘘のように盛り上がる。
「夏祭りか!一緒に回ろうぜ!」
大輝がひらめいたように声を大きくして言う。
夏祭りか……クラスの子はみんな、あたしに気付くかな…
まだクラスのみんなに馴染めてないあたしが、不安に思っていると海斗があたしを見た。