愛してるのに愛せない
「お前…俺と理花のこと気にしてるだろ?」
まったく…なんで兄貴は俺が思ってることがわかるかな…
俺は正直に話すことにした。
「気にしてるよ」
「やっぱりな…」
「兄貴は俺のせいで失恋した。理花さんと別れたのは俺のせいだよ…」
「海斗…」
「俺が兄貴から理花さんを奪ったも同然なんだ…」
「それは違うっ!!」
最後まで言おうとした言葉を、兄貴の声でかき消される。
いきなりの大声に俺は驚いて、兄貴を見る。
「いきなり大声出して悪い…でも海斗の考えは間違ってる」
「え…?」
「俺…考えたんだけどさ。理花と別れてよかったと思うよ…」
「なんで…?」
兄貴は大きく深呼吸をして、別れてよかったと思う理由を話した。