愛してるのに愛せない
「海斗のことを話して、結婚できずに…しかも別れた。でもな?海斗のことも愛せないなら、生まれてくる子供も愛せないと思うんだ…」
「兄貴…」
「海斗…俺はお前に誓ったよな?」
「誓い…?」
「病院で目を覚ましたお前に俺が言った言葉…」
「ずっと…守るから…」
「そう。だから、お前にも恋愛する資格がある。恋していいんだよ…」
兄貴…
俺は兄貴が憧れなんだよ…
こんな俺を引き取って…育てようとしてくれて…
俺のことを考えてくれる兄貴が…憧れだった。
俺は兄貴みたいになりたいと思ったんだ。
「兄貴…ありがと…」
兄貴は俺に微笑みかけると、すぐに前を向いて運転に集中した。