愛してるのに愛せない
三人で、いろいろな屋台を回る。
俺が腹減ったと言えば、三人で焼きそばを買いに行き…
大輝がたこ焼き食いたいと言えば、三人で…
彩が綿あめを食べたいと言えば、また三人で…
俺たちは三人で行動するのが当たり前のようになっていた。
「ねぇ、海斗…?」
「ん?」
「大輝がいない…」
「なんだって!?」
気付くと大輝がいない…
周りを見渡しても、人混みで大輝がいたとしても判断できない…
「海斗…どうしよう…?」
彩が不安そうな顔をする。
その不安そうな顔を俺は笑顔にしてやりたいと思った。
「大丈夫。こういうときの鉄則って知ってるか?」
「鉄則?」
「はぐれた場合、屋台の並んでる場所から出るんだよ」
「なんで?」
「やってみればわかる」
俺は、離れないように彩の手を握ると歩き出した。