愛してるのに愛せない
歩くこと5分。
人混みでなかなか進めない中、俺たちはやっとの思いで人混みから抜け出す。
「ここまで来れば大丈夫だろ」
「海斗…あのね…?」
「ん?」
「手…繋いだまま…」
彩が顔を赤くして、俺の手に視線を落としている。
「あっ…わり…」
そういえば手繋いでたんだった…
俺は急いで手を離す。
「海斗…?」
「ん?」
「やっぱり…手、繋いだままでいい?」
「恥ずかしいんじゃないの?」
俺も恥ずかしかったし…
「あたし…ホントは人間が怖いから…」
そう言えば、彩…前に話してくれたっけ…
本当は、無理してまで祭りに来たんだろう…