愛してるのに愛せない
「レイちゃん…みんなも…どうしたの?」
俺と大輝にも気付いた彩は何事かと思ったのか、少し焦っている。
「いや、今日遊ばないかと思って…」
大輝が言いづらそうに言った。
「今日?いいよっ!遊ぼっ!」
「じゃ、決まりだな」
俺は明日香を見ずに自分の席につく。
「じゃ、ウチは行くね」
「あっ、うん。またねっ」
彩が明日香に手を振る。
明日香は不機嫌そうに廊下を歩いて行った。
大輝はいつの間にか俺の隣で座っていて、レイは彩と一緒に俺たちの席に来た。
「さっき…明日香と何話してたの?」
レイが彩に聞くと、彩は一瞬困った顔をした。
でも、その顔はすぐに笑顔になる。
「普通の話だよっ」
「普通の話…?」
俺が彩に聞くと彩は再び困った顔をする。
しばらく流れる沈黙…
彩が溜め息をつき、観念したように明日香との話を俺たちに話しだす。