愛してるのに愛せない
「海斗…」
昇降口を出て、校門を出た瞬間に聞き慣れない声が俺を呼んだ。
「はい?」
俺が声のした方に振り向くと、そこには車に乗っていた二人の夫婦がいた。
やっぱり俺か…
「やっぱり…海斗なのね…?」
女の人は俺を見て涙ぐむ。
一体何なんだ…?
――――ズキッ…
「いってぇ…」
「海斗!?」
急に襲った頭痛…
まただ…
彩が心配する声が聞こえたが、俺には返事する余裕もない。
俺は頭を抱えて座り込んでしまった。
ズキッ…ズキッ…
頭が痛い…
頭痛はどんどん痛みを増す。
「海斗っ!大丈夫か!?」
男の人が俺に駆け寄る。
「海斗っ!海斗!!」
男の人が何度も俺を呼び掛ける中、俺は頭痛に耐えながらも、ある疑問が浮かんだ。
この人達…なんで俺の名前を知ってるんだ…?