愛してるのに愛せない
~友達から親友へ~
―――…
…と…。…か……と…。
誰かが俺を呼んでる…
「かいと!」
ハッキリと名前を呼ばれ、俺は眼を擦る。
「んぁ…?」
「何が『んぁ…?』だよ!今日から中学生だろが!」
眼を開けて話してる人に視線を当てると兄貴が俺を起こしに来ていた。
「早く着替えて朝飯食えよ」
「うぃ…」
やる気も見られない返事をすると兄貴は微笑んで、テーブルのある部屋に歩いていった。
イマイチ目が覚めないな…。
俺はダルそうに制服に着替えて兄貴と朝食のあるところに向かった。
座って食パンをかじると、兄貴が心配そうな顔をして俺を見ていることに気付いた。
朝からなんだよ…
「なに?」
うっとうしいから聞いてみた。
「海斗……また夢見たのか?うなされてたぞ。」
全く…兄貴って俺の特徴だけは掴んでんな。
「マジで?まぁ…気にしなくていいよ。」
この話題になると兄貴は本当に心配そうな顔をして俺を見る。
何も覚えてない俺に腹がたつ…
俺は……
春休みの間に…
記憶を失ったらしい。