愛してるのに愛せない
「……それは光太君が帰ってきたら話そう…」
男の人は、そう言って外に出て行った。
あたしたちは海斗を一人にする訳にもいかず、光太さんの帰りを待つことになった。
その間、レイちゃんがずっと泣いていて、大輝は心配そうに海斗を見ていた。
あたしは海斗のタオルを交換しながら、ずっと考え事をしていた。
海斗と光太さんの関係…
あの人たちと海斗の関係…そして光太さんとの関係…
なぜ光太さんは、あのとき嘘を教えたんだろう…?
考えているうちに夕方になり、あたしたちはただ、茫然としていた。