愛してるのに愛せない
「気になるようだね……」
「はい…」
あたしと光太さんの間に沈黙が流れた。
やがて光太さんは下を向き、しばらく考え込む。
そして、真顔であたしを見て、みんなを見た。
「教えるよ…本当のことを…」
「本当のこと…ですか…」
「とりあえず、みんなこっちに来てくれる?」
光太さんは、あたしたちにそう言うとテーブルのある部屋まで行ってしまった。
あたしは、泣いているレイを連れ、大輝と移動するように促して光太さんがいる部屋に向かった。
「座って」
「はい…」
あたしたちは、光太さんに指差された場所に固まって座る。
気付けば、さっきの夫婦のような人たちもいた。
「まずは…海斗を看病していてくれてありがとう…」
光太さんは頭を深く下げた。
違うよ…。
あたしはそんなお礼を聞きにきたんじゃない…。