愛してるのに愛せない
「海斗は…記憶喪失だってことは教えたよね」
「はい…」
「海斗の記憶喪失は…虐待によるものなんだ…」
「えっ…?」
あたしは自分の耳を疑った。
あの海斗が…虐待…?
「この人たちがですか…」
「いや、違う。海斗が虐待を受けていたのは、義理の父親と義理の母親だよ…」
「ど…どういうことですか…?」
「この人たちが海斗を育てることができなくなったのは、海斗が五歳の時。海斗はこの人たちに捨てられて孤児院に預けられた…。そこで、引き取ったのが俺の親だ…」
海斗が…捨てられた子…?
それどころか…虐待まで…。
「じゃあ、海斗が記憶を失くしたのは…光太さんの親のせいですか…?」
「そうだ…」
あたしは怒りが胸の底から込み上げてきた。
怒りで手が震える。
あたしは我慢できなくなって光太さんに叫ぶ。