愛してるのに愛せない
「光太さん…あなたは…その間、いったい何をしてたんですか‼‼」
何もできない自分が悔しくて…悔しくて……涙が浮かんでくる…。
海斗はあたしのこと、よく気付いて心配してくれた…。
なのに…あたしは…!
「彩…落ち着いて…。俺だって守っていたさ。自分の体を盾にして…」
「自分の…体を盾に…?」
「あぁ。どんなに殴られても蹴られても…何かを投げられても…守ったさ…」
堅く握られたあたしの手が解ける…。
光太さんが悪いんじゃない……それどころか光太さんは必死で海斗を守っていたんだ…。
「だけど…ある日、俺が仕事に行っていた間に事件が起こった…」
「事件…?」
「実は…弟がいた…。海斗が小学六年生。弟は三歳だった…」
「弟……海斗はそんなこと一言も…」
「忘れてるからな…」
「そんな…‼」
「話を戻すよ。事件があったのは、海斗の小学校の卒業式の夜だ…。家に帰った海斗が見たのは血だらけの弟と、返り血を浴びた俺の両親だった。そして海斗も殴られ、蹴られ、ボロボロになっていた…」
あたしは言葉を失った。
あたしだけじゃない…。
きっと大輝もレイちゃんも同じだ…。
こんな残酷なこと…あっていいの…?
言葉を失って聞いてるだけのあたしたちに、光太さんは話を続けた。