愛してるのに愛せない
光太さんが話すのを急に止めた。
「光太さん…?」
光太さんはずっと同じ所を見つめている…。
光太さんの顔は唖然としていて、あたしはどうしたのかと思って光太さんの顔をジッと見た。
「海斗……」
光太さんがやっとの思いで口を開く。
その言葉に、あたしたちは光太さんと同じ所に視線を向けた。
そこにいたのは……海斗だった…。
「海斗……もう大丈夫なのか…?」
海斗は黙ったまま光太さんを見つめた…。
でも、その目は見つめているんじゃない……睨んでる目だ…。
あたしは怖くなって、言葉を出すことができなくなる…。
「海斗……俺…お前に…」
光太さんが海斗に手を掛けようとしたその時…
――――バシッ…
光太さんの手が海斗の手に弾かれた。
「兄貴……今まで嘘ついてたんだな…」
「海斗…。それは…」
「お前なんか兄貴じゃねぇ‼」
「海斗っ!かい…」
海斗は光太さんにそう叫び、家を飛び出してしまった。