愛してるのに愛せない
「海斗…」
「あたし、追いかけます!」
あたしは玄関まで走って靴を履いたとき、光太さんに引き止められた。
「待って…彩。先に聞いてくれ…俺が海斗や彩たちに嘘を教えた理由を…」
「でも、海斗がっ‼」
「どっちにしろ、今の海斗は俺を恨んでる。本当のことを教えるから聞いてくれ…頼む…」
光太さんの目が切ない…。
どうやら、本当のことをちゃんと言うらしい…。
「わかりました…」
あたしは靴を脱いで、座る。
「嘘をついた訳は…海斗を守るためだよ…」
「海斗を…?」
「あぁ。海斗が虐待されていた時のことを思い出さないように、嘘を教えたんだ…」
「でも…なんで、あたしたちにも嘘を…?」
「彩たちにも言えば…海斗も安心感を持つと思って言ったんだ…」
「そうだったんですか…」
光太さんは下を向いてしまった…。
床にはポタポタと涙が零れ落ちていた…。
「光太さん…海斗を探しましょう…?」
「海斗は…俺を許してくれるだろうか…」
「それは話さなければわかりません…でも、話さなきゃ変わりません…」
あたしは大輝とレイちゃんの前に座って、話しかける。
「大輝…レイちゃんのこと見ててあげて…?あたしは海斗を探してくるから…」
「おう…気をつけろよ…」
「うん。レイちゃん…きっと大丈夫だから泣き止んで…?」
「…ぅ……ん…」
あたしは光太さんと一緒に海斗を探しに外へ出る。