愛してるのに愛せない
記憶―from 海斗―
「はぁっ…はぁっ…」
家を飛び出した俺はとにかく走った。
どこかに行く訳でもなく、ただひたすら走り続けていた。
俺は…兄貴に騙されてたんだ…‼
その考えで精一杯だった。
ずっと走り続けて疲れた俺は、公園の石段に座って休むことにした。
「はぁ…はぁ……くそっ…‼」
俺にはイライラと怒りと憎しみしかなくなっていた。
「俺が…虐待されてたのは……」
どこにやればいいかわからない怒りが込み上げる。
俺はこれからどうすれば…?
そんなことを長い間ずっと考えていた。