愛してるのに愛せない


「海斗…?」

「ん…?」



彩…いい匂い…。



俺の心臓がドキドキしてる…。



何だろう…これ…。




「光太さんが嘘をついた訳は…海斗を守るためだよ…」


「俺を…?」


「うん……海斗が虐待されていた時のことを思い出さないように、嘘を教えたんだって…」


「そうだったのか…」





俺は月を見る…。



ふと、去年のことを思い出す…。




「あの時も……二人で話したよな…」



彩も月を見て、思い出していた。



「あの時は…あたしが海斗に手を握ってもらってたんだよね…」


「今じゃ、その延長線……彩、俺に抱きついてるし…」


「あははっ!でも……海斗だから、抱きつけるんだよ…?」


「えっ…?」




彩…それって……?



俺は彩の手を握り、彩の顔を見つめた…。
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