愛してるのに愛せない
「はいっそこまでー!」
急に、俺たちに声が掛けられる。
その声は、兄貴でも大輝でも、レイでもなく……大人の女性のもの。
でも、母さんの声ではない…。
俺は誰かと思ってその人を見た。
長い髪…奇麗な顔立ち…見覚えのある顔…。
「まったく…一年くらい会わない内にマセたね…海斗君?」
この人……もしかして…?
「もしかして…理花さん!?」
「当ったり~」
「今更、何の用ですか?」
「海斗…誰…?」
俺の後ろに隠れてた彩が俺に理花さんのことを聞いてくる。
彩は知らなくて当然だ。
「兄貴の元カノだよ…」
「光太さんの…?」
「海斗君…光太から聞いてないの?」
元カノという言葉に反応した理花さんが俺に聞いてくる。
聞いてない…いったい何をだ…?