愛してるのに愛せない
「光太はね…。ずっと海斗君のことを気にしてたよ。ウチにいつも話してた。光太の両親が捕まった日、なんで俺が近くにいてやれなかったんだろう…ってね」
「えっ…」
「俺がいれば、海斗は傷付かずに…記憶を失わずに済んだって後悔してたよ…」
「兄貴は…あの日のことを今も…」
「それだけじゃないよ。ウチにプロポーズしてきた時も、海斗のためって言ってたんだから…」
「そんな…」
だとしたら…。
だとしたら……!!
俺が兄貴に言った言葉は……
俺は兄貴に酷いことを…。
「ウチは最初、反対して別れたけど…今は違うよ。光太と結婚するんだからっ」
「結婚……えぇっ!?」
「ホントに何も聞いてないんだねぇ……光太らしいけど…」
どういうことだ…?
じゃあ…俺の前に父さんと母さんが来たのは…兄貴が俺を引き渡すため…?
俺にどうしようもない不安が押し寄せる…。