愛してるのに愛せない
「二人で何話してるの?」
「ん?レイか…。いじめの話…」
トイレから戻ってきた彩とレイは真っ先に俺たちのところへ来て、話に入る。
「なんか……酷くなってきたよね…」
レイがボソッと言った。
俺は昨日のこともあって、彩を見ていた。
「…ん?なに、海斗?」
「いや、何も…」
俺の視線に気付いた彩が、俺に話しかけてきた。
俺は何も気にしてないフリをして、やりすごす。
「……うわっ…月城さんも戻ってきたよ…」
誰かがヒソヒソと言ったのが聞こえた。
誰が言ったのかわからないが、俺は教室中を見渡す。
昨日のことからか、彩もいじめの対象になっているようだった…。