愛してるのに愛せない


―――…


「そういえば、いじめのことなんだけど…」




昼休み、彩がトイレに行っている間にレイが周りを気にしながら小さい声で喋りだした。




俺はレイが言いたいことがなんとなくわかっていた。



「彩もいじめの対象にされてる…だろ?」


「なんでわかったの?」


「さっき、誰かがヒソヒソと言ってたのが聞こえたからな…」


「そっか…」



俺と大輝とレイは、それ以上は話さず黙ってしまった。




今の昼休みも、友美が明日香たちにいじめられている。


俺たちは、それを横目で見ていた。



俺は、大輝がいじめられていた頃を思い出してみる。




大輝を助けたのは仲間だったしな…

それに、大輝をいじめてたメンバーに友美もいたから…助ける必要もない。



俺は自分にそう言い聞かせた。
< 239 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop