愛してるのに愛せない
「海斗っ!」
「ん?」
「行ってらっしゃいっ」
「行ってきまーす」
母さんになった理花さんに玄関まで見送られて、俺は家のドアを開けて学校に向かった。
一年前とは、比べられない程の生活の変化だ。
こっちに関しては言うことはない。
問題は学校にあった。
いつものように学校に行く途中で大輝と会って、二人で学校に行く。
ここまでは良かった…が、学校に着いて俺は驚きと嘆きしか無くなった。
それは昇降口に着いて下駄箱を見た時だった。
隣にいる大輝もそれを見て驚く…。
「なんだよ……これ…」
俺と大輝が見たもの…。
それは……俺、彩、大輝、レイの下駄箱の扉に『病原菌は死ね』と赤い何かで書かれた落書きだった。