愛してるのに愛せない
過去―from 彩―
「はぁ……またやっちゃった…」
時計の見える非常階段に座って左の手首を抑えて、あたしは溜め息をつく。
あたしはいじめられている。
それも…言い返すことができないことで…。
教室を飛び出して一人で落ち込む。
最近は家に帰って、部屋で一人でいるとカッターに目が行くあたし。
あたしはカッターの刃をジッと見つめていた。
カッターの刃は、あたしの血が付いて茶色くなっていた。
「やめたい…でも、抑えられないよ…」
あたしは手首に刃を食い込ませて、スッと素早くスライドさせた。
赤い液体があたしの肌から滲み出て、つーっと流れる。
その液体が下に落ちるのをあたしは見つめていた。