愛してるのに愛せない
「やっぱり……人間は嫌い……怖い…」
一人で呟き、手首を眺めるあたし。
「彩っ!!」
突然、後ろから大きい声で呼ばれて驚く。
体跳ねるくらいに驚いたけど、あたしは声で誰なのかわかった。
そして急いでカッターの刃をしまってブレザーのポケットに押し込んで振り返る。
「……なに?海斗…」
あたしは左の手首を反対の手で押さえながら海斗を見た。
「なにって……心配だから追ってきたんだよ…」
「優しいね…海斗は…」
押さえてる手を見られないか内心ドキドキしながらも、あたしは海斗と喋る。
お願い…気付かないで…