愛してるのに愛せない
「…なんで?」
「えっ…?」
海斗があたしの目を見つめて何かを問いかけた。
気付かれずに済んだことにあたしは少しホッとする。
「なんで言い返さないんだよ…?」
「それは…」
あたしは何て言ったらいいかわからず、黙ってしまった。
海斗…。
あたしには言い返す言葉がないの…。
だって……あたしは…。
考え込んで、あたしも海斗も何も喋らずにいた。
しばらく続く沈黙。
海斗はずっとあたしを見つめたまま目をそらさない。
あたしが話せば、海斗は納得するだろうか…。
それとも、離れてしまうだろうか…。
きっと離れてしまう…。
あたしは、ずっと黙ったままでいた…。