愛してるのに愛せない


「…なんで?」


「えっ…?」




海斗があたしの目を見つめて何かを問いかけた。


気付かれずに済んだことにあたしは少しホッとする。



「なんで言い返さないんだよ…?」


「それは…」





あたしは何て言ったらいいかわからず、黙ってしまった。




海斗…。




あたしには言い返す言葉がないの…。




だって……あたしは…。




考え込んで、あたしも海斗も何も喋らずにいた。








しばらく続く沈黙。




海斗はずっとあたしを見つめたまま目をそらさない。







あたしが話せば、海斗は納得するだろうか…。






それとも、離れてしまうだろうか…。





きっと離れてしまう…。





あたしは、ずっと黙ったままでいた…。
< 250 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop