愛してるのに愛せない
――ピーンポーン…
彩の家の前に着いた俺たちはインターホンを押して待つ。
しばらくして、女の人の声が聞こえた。
彩の母親だろう。
「どちら様ですか?」
「あ、彩の友達の津島 海斗といいます。彩に会いに来たんですけど…」
「ちょっと待ってください?」
そう言うと、ドアの鍵が開く音がして母親が顔を覗かせた。
「どうぞ?」
「お邪魔します…」
俺たちは彩の家の中に入っていく。
初めて来た彩の家は、なんだか寂しい感じがした。
俺たちは靴を揃えて上がると、彩の部屋の前まで案内された。
「彩の部屋です…ごゆっくり?」
「ありがとうございます」
軽く会釈すると彩の母親はリビングに行ってしまった。
俺は深呼吸をして部屋のドアをノックする。