愛してるのに愛せない


――ピーンポーン…



彩の家の前に着いた俺たちはインターホンを押して待つ。



しばらくして、女の人の声が聞こえた。
彩の母親だろう。


「どちら様ですか?」


「あ、彩の友達の津島 海斗といいます。彩に会いに来たんですけど…」


「ちょっと待ってください?」




そう言うと、ドアの鍵が開く音がして母親が顔を覗かせた。



「どうぞ?」


「お邪魔します…」



俺たちは彩の家の中に入っていく。




初めて来た彩の家は、なんだか寂しい感じがした。



俺たちは靴を揃えて上がると、彩の部屋の前まで案内された。



「彩の部屋です…ごゆっくり?」


「ありがとうございます」



軽く会釈すると彩の母親はリビングに行ってしまった。




俺は深呼吸をして部屋のドアをノックする。
< 269 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop