愛してるのに愛せない
3時限が終わり、俺は教科書とノートを片づける。
休み時間はどこのクラスも賑やかに雑談する。
正直、うるさいくらいだ。
ふと左右の席で寝ている二人を見る。
……まだ寝てやがる…
1時限に寝たこの二人…彩は別として、ほとんど寝てやがる…
俺はやれやれ…と額に手を当てる。
「ふ…んぁあ~~……よく寝た~…」
突然の声に俺は驚き右を向くと大輝が起きて伸びをした。
「あっ…大輝やっと起きた」
今度は彩が起きた。
いやいや…待て待て。
「やっと」ってなんだよ。
「いやぁ、よく寝たぜ」
大輝の呑気なセリフに俺はつっこむ。
「いやいやっ!!寝過ぎだから!!」
「寝過ぎなことはない!!」
「いやっ、寝過ぎだからっ!!もう次は四時限ですけど!!」
「ウソっ!?」
そんな会話をしていると彩も加わった。
「大輝、寝過ぎ~」
「うぅ……ノート写させて…」
いやいや…彩も寝てただろが…
「イ・ヤ・よっ」
「お願いしますよ~!彩様~」
「寝てた大輝が悪いっ」
「何も言えねぇ…」
なんなんだよ…この二人は……面白過ぎるっ
「彩?」
俺が急に呼び掛けたからか、彩はビクッとした。
「ん~?なに?海斗」
「お前も寝てたろ?」
「寝てないよっ!!」
必死に寝てないことを主張する彩。
首を横に激しく振る。
彩…
バレてんだよっ!!
「彩も頑張ってノートに写してたけど…めっちゃ抜けてるはずだぞ?」
俺はニヤニヤしながら、ノートをヒラヒラと見せる。
彩は俺のノートを取って、自分のノートと見比べる。
俺はニヤニヤしながら彩を見つめる。