愛してるのに愛せない
「どうした…海斗……っ!?」
大輝が俺と彩に近づき、覗き見ると驚いて後退る。
「えっ……どうしたの…?」
レイも覗き込むと悲鳴を上げて驚き、口に手を当てる。
「彩っ!…彩っ!!」
俺は彩を呼びながらも手首を押さえる。
「……ん……ぅん…?」
「彩っ!?」
彩は気が付き、虚ろな目で俺を見た。
「ん……かい…と…?」
「彩……何やってんだよ…」
彩は状況が飲み込めたのか、俺の手を振りほどいて自分の手首を隠した。
「海斗…ごめん。あたしには耐えられなかった…」
「耐えられなかった…?」
どういうことだよ…。
俺は彩が楽な方を選んだはずだったのに…。
何がいけなかった…?