愛してるのに愛せない
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夜の7時…
俺はテーブルに夕飯を置いてラップをする。
「兄貴…遅いな…」
心配事を口にしても意味ないが、つい声にしてしまう俺。
なんとなくテレビをつけてみると、ドアが開く音がした。
「ただいまぁ~」
「おかえり~」
俺はテレビを見ながら返事をする。
兄貴は靴を脱ぎ中に入ってくる。
「疲れたぁ~…おっ?」
「飯、作っといたよ。たまにはちゃんとしたの食べた方が良いと思って…」
「海斗が作ったのか!?サンキューッ!!」
こんな感じの兄弟。
どこの家とも変わらない兄弟。
ただ違うのは、この家には両親がいない。
「でも、いつのまに料理できるようになったんだ?」
考え事をしていて急に話しかけられて驚いたが、気にせずに兄貴と話す。
「さぁ…?なんとなく作ってみたけど…マズイ?」
食べてもらっていて、やはり気になる…味。