愛してるのに愛せない


―――――――――


夜の7時…



俺はテーブルに夕飯を置いてラップをする。






「兄貴…遅いな…」







心配事を口にしても意味ないが、つい声にしてしまう俺。







なんとなくテレビをつけてみると、ドアが開く音がした。







「ただいまぁ~」

「おかえり~」




俺はテレビを見ながら返事をする。



兄貴は靴を脱ぎ中に入ってくる。






「疲れたぁ~…おっ?」

「飯、作っといたよ。たまにはちゃんとしたの食べた方が良いと思って…」

「海斗が作ったのか!?サンキューッ!!」



こんな感じの兄弟。


どこの家とも変わらない兄弟。





ただ違うのは、この家には両親がいない。





「でも、いつのまに料理できるようになったんだ?」




考え事をしていて急に話しかけられて驚いたが、気にせずに兄貴と話す。





「さぁ…?なんとなく作ってみたけど…マズイ?」




食べてもらっていて、やはり気になる…味。


< 30 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop