愛してるのに愛せない
「いや、普通に美味いよ」
美味いという言葉を聞いてホッと胸を撫で下ろす。
良かった…たまには兄貴にも喜んでもらわないと……
「そっか…良かった」
そう言って、俺は兄貴に笑顔を向ける。
「海斗はホント意外だよな…」
夕飯を食べる兄貴は何故か寂しそうに笑った。
その寂しそうな兄貴の笑顔が気になった俺は、兄貴に聞いてみることにした。
「兄貴…何かあった?」
俺の言葉に動揺したのか、兄貴が驚いた顔をして箸を落とす。
「兄貴…?」
ただ事じゃない気がした…
そう思ったのは、兄貴の顔が泣きそうな顔をしたからだ…
「実はな……実は…」
「実は…?」
「理花にプロポーズを断られた…」
理花というのは兄貴の彼女だ。
兄貴と理花さんは3年くらい付き合っていた。
「理花さんにプロポーズを断られただけ…?」
「いや……別れた…」
兄貴…泣かないでくれよ…
俺は兄貴が大好きだ…
昔から面倒を見てくれたんだから…
俺は詳しく聞こうとした