愛してるのに愛せない
「海斗…?」
「ん…?」
兄貴に呼ばれて、ハッとする。
またもや考え事をしていたようだ。
「海斗のせいじゃないからな…?」
泣き止んだ兄貴は笑顔で俺に言う。
ホントに…兄貴は俺の特徴をよく掴んでる…
「それより、海斗の方が何かあるんじゃないのか?」
「ん…?あぁ…」
「言ってみな?」
「今度の日曜、朝から夜まで友達と遊んでくる」
なんか…俺ばっか楽しんでていいのかな…
兄貴の顔をゆっくり見ると兄貴は微笑んだ。
「行ってきな?今のうちに楽しんでおきな?」
そう言って兄貴は俺にお金を渡す。
「ありがとう…」
俺は貰ったお金を財布にしまう。
「海斗っ!」
兄貴に呼ばれて俺は振り向く。
「ありがとな…」
兄貴は笑って俺を見る。
「どういたしまして…」
俺も兄貴に笑顔を見せて、自分の部屋に行く…