愛してるのに愛せない
次の日の朝…
俺はいつものように朝食を食べる。
「海斗…学校は慣れたか?」
向かい側に座る兄貴に聞かれ、俺は一瞬驚く。
「んぁ…まぁ、慣れたよ」
「そっか。友達はできたか?」
兄貴が心配そうに聞いてきた。
俺は彩のことを言おうか迷ったが、兄貴にはすぐにバレるので素直に言うことにした。
「大輝って小学校からの友達に加えて、彩って金髪の女の子。あとは、よく話しかけてくる明日香って女の子。そんぐらい…」
「結構、モテてんだな」
兄貴はニヤニヤしながら俺に言ってくる。
なんだ、そのニヤニヤは…
「今度、ここに連れてきなよ」
「えっ…?」
「海斗の友達、見てみたいから」
兄貴は笑顔で俺にそう言うと、皿を片し始めた。
良かった…。
元気そうだな…
昨日のことがあって、俺は兄貴が心配だったが大丈夫そうだったのでホッとする。
「わかった…絶対に連れてくる」
「おぅっ!」
俺も皿を片づけて、学校に行く。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
俺は家を出て学校に向かって歩き出した。