愛してるのに愛せない
後日、俺たちは以前待ち合わせをしたコンビニで集まって俺の家に来た。
兄貴に話したら、あっさりOKが出て正直言って戸惑った。
とりあえず俺は鍵を開けてドアを開ける。
「どうぞ」
「お邪魔しま~す」
彩と大輝が部屋に入るのを確認して俺も中へ入って鍵を閉める。
俺が靴を脱ぎ、冷蔵庫を開けると彩が歩いてくる。
気になった俺は彩に、「どうした?」と問いかける。
「いやぁ…靴だけは揃えておこうと思って…」
「自分のだけ?」
俺が笑って言うと、彩は顔を膨らませた。
「ひっどいっ!ちゃんとみんなの靴、揃えるしっ!」
「あぁ…別にいいよ?放っといても…」
「だって…泊まるわけだし、迷惑はかけられないよ…」
なんていうか…彩って意外なところが多い。
初めて会ったときは失礼な奴だと思ったのに…人って見た目によらないなぁ…
靴を揃えている彩の背中を眺めながらそんなことを思っていると、彩が立ち上がった。
どうやら終わったようだ。
「ありがとな」
「いーえっ♪」
彩は笑顔でピースしながら振り返る。
彩の長い髪がフワッとして、シャンプーであろう甘い香りが漂う。
俺は彩の、その笑顔にドキッとした…