愛してるのに愛せない
「お茶とコーヒーと水道水、どれがいい?」
俺はテーブルの上でノートを広げている二人に問いかける。
「なにその選択肢っ!!」
「俺お茶ー」
「あたしは…じゃ、コーヒーでっ」
「じゃあ、彩はコーヒーで、大輝は水道水ね」
「ぅえぇっ!?なにその引っかけ問題っ!!」
「大輝は靴を揃えなかったから」
「ひでぇ…」
そんなことする訳ないじゃん…
俺は会話しながら二つのカップにコーヒーと、一つのコップにお茶を注ぐ。
コーヒーは…砂糖とミルクか。どこやったっけなぁ…
俺は砂糖とミルクを探し始める。
「なにか手伝おうか?」
「うぉっ!?びっくりしたぁ…」
彩が足音もなく近づいてきていたものだから、俺は驚いて体がビクンと跳ねた。
「あははっ、ごめんごめん!…手伝うよ?」
「あぁ…じゃあ、とりあえず大輝にお茶持ってってくれる?コーヒーは熱いから俺が持ってくよ」
「はーぃっ」
彩は大輝のお茶を持っていく。ミルクを見つけた俺は、次の目標である砂糖を探す。
「おっ?あったあった。…塩じゃないよな?」
俺は少しだけ指ですくって舐めてみる。
「うん、砂糖だ」
俺はコーヒーとミルクと砂糖、そしてスプーンを持って彩と大輝のいるところへ歩く。