愛してるのに愛せない
「なぁ、これって運命?」
なんだよ運命って…
「知らん。偶然だろ」
俺がニヤニヤして言うと大輝は拗ねた顔をした。
ついでに自分の座席の隣の名前を見る。
つきしろ…あや?
ほぉ…可愛い感じの名前だ。
でも月城って苗字、珍しいな。
「海斗~…先生来たら起こして…」
眠そうな声で大輝が俺に言う。
「おぉ…って寝るんかいっ!!」
「いやぁ…ちょっと入学式って考えてたら昨日寝れなくて…」
大輝…お前は小学生か…?
遠足じゃあるまいし…
そんなことを考えていると、大輝は机に伏せて寝始めた。
入学式の日に寝るって…こいつ馬鹿か?
そんな大輝の傍で周りを見ていると話しかけられた。
「えっと…津島君?」
「ぁ…そうだけど」
お?もしかしてこの女子が月城って子か?
なかなか可愛いじゃないか!!
「津島君の斜め前の塚本 明日香(つかもと あすか)です!よろしくね!」
なんだ…違うのか…
まぁ、席も近いし仲良くしよう。
「こちらこそよろしくな!」
そう言って笑顔で右手を差し出す。