ダラダラと私は歩く。

病院を出て5分くらいはたったかな。
私は今、川原にいる。

人はほとんどいなくて、静かで落ち着く。

数少ない私のお気に入り場所だ、


「……寒い」


いつ来ても思う。
〝寒い〟って。

当たり前っちゃあ当たり前なんだけどね。
だってまだ、少し雪あるし。
春になったばっかりだし。

……でもやっぱり私はここが好き。

ここは私を受け入れてくれる……温かくて優しい場所だから。


ボーっと川の流れを見つめてみる。
今日は、流れが速い。
水も濁り気味。


「っ……!?」


川の中に人がいる。

ってか、流されてる?

まさかな、と思いながらもよく目を凝らしてみる。

やっぱり流されてる。
どうしようか。
放っておくわけにもいかない。

どうしよう……?

――気付いたら川に飛び込んでいた。

泳ぐのは苦手じゃない。
けど、人を抱えて泳ぐのはかなりつらい。

あと、ちょっと。
もう少しで岸に手が届く。

あと少し――。


「っ……けほっ……」


やっとの思いで陸に上がる。

溺れ掛けていた人は息……してるね。

小さく安堵の息を漏らす。


「けほっ!」


溺れ掛けていた人が目を開ける。
小学2年生くらいの男の子。

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