桜の咲く頃に

笑顔の裏側

「おつかれっしたー!!」


色とりどりの髪の毛をした集団が夜の街を歩き出す。


彼等は先程大通りに面したライブハウスで演奏を終えたばかりのバンドマン達だ。


「あーっ!!今日の打ち上げマジかったりぃ」


金髪に長い髪を靡かせながら望が口を開いた。


「あ、俺今日は打ち上げ行かないわ」


「は!?今日は有名事務所の社長が来るんだぞ!?」


「悪いっ!!明日期末テストっ(笑)追試になったら次のライブ予定狂わしちまうからさ」


驚愕する望に黒髪の少年が微笑しながら非常に現実的な理由を告げた。


「…っはぁ…ったく、中学生はご多忙なこったね」


「ほんとごめん!!若くてごめん!!」


「嫌味かクソガキ!!」


中性的な微笑みを夜の街に残して少年は帰路についた。


その少年は桜という名前であった。