桜の咲く頃に
サクッ…サクッ…と桜がフリージアに鋏を入れる。
茎が柔らかい分、鋏を入れる度にサクッと柔らかい音がする。
「…今日の空はきっと青いんでしょう?」
「はい…」
「私ね、匂いで天気がわかるの」
「…そうなんですか」
桜はどう答えればいいのか解らず曖昧に返答した。
「昔は空も雲も花も木も見えていたのに…だけど全然苦じゃないの…自分でも不思議だけどね」
…パシャン
「あら?水の音…」
「フリージアは茎が弱いので、浅い花器に浮かべる感じで活けてみました」
スリ硝子に色とりどりの小さな花が映える。
水に太陽の光が反射し、色味を増しているようにも見える。
「…水の香りに、気が付かなかった」
春菜が焦点の合わない瞳で先程活けた花の方を見つめている。
「…もしかしたら、普段使用している水と違うせいかもしれません」
桜が今日使った水は、祖母の田舎の山間の村から湧き出る湧き水だ。
茎が柔らかい分、鋏を入れる度にサクッと柔らかい音がする。
「…今日の空はきっと青いんでしょう?」
「はい…」
「私ね、匂いで天気がわかるの」
「…そうなんですか」
桜はどう答えればいいのか解らず曖昧に返答した。
「昔は空も雲も花も木も見えていたのに…だけど全然苦じゃないの…自分でも不思議だけどね」
…パシャン
「あら?水の音…」
「フリージアは茎が弱いので、浅い花器に浮かべる感じで活けてみました」
スリ硝子に色とりどりの小さな花が映える。
水に太陽の光が反射し、色味を増しているようにも見える。
「…水の香りに、気が付かなかった」
春菜が焦点の合わない瞳で先程活けた花の方を見つめている。
「…もしかしたら、普段使用している水と違うせいかもしれません」
桜が今日使った水は、祖母の田舎の山間の村から湧き出る湧き水だ。