桜の咲く頃に
「それじゃ、活け終わりましたし…これで失礼します」


「…また、お願いします」


「…はい」


いつも老人相手に仕事をしているせいか、同じ年頃の異性との会話は言葉が続かない。


(学校やハウスでなら、楽に言葉が浮かぶのに…)


「今日はありがとうございました」


春菜の母が深々と頭を下げ、茶封筒を桜に渡した。


小林邸の玄関を出てもと来た道を歩き自宅に着いた。


「はぁーっ」


深い溜め息をつき、桜は渡された茶封筒を開けた。


(!?)


封筒の中には一万円札が三枚入っていた。
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