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俺はその日、赤点をとった補習授業があり、一人教室に残っていた。
教室の扉が開いた。
「…加奈子。」
「………。」
加奈子と顔を合わすのは久しぶりで、俺はどう接したら良いのかもわからずにいた。
加奈子はなにも言わない。
不思議とその沈黙は重いものではないように感じた。
どのくらいの時間がたったのだろうか。
俺は補習に行くのも忘れ、ただ時間がすぎてゆくのを感じていた。
「…久しぶりね。」
加奈子が呟いた。
「…久しぶりだな。」
俺も呟くように返事をした。
夕日が俺たちを包んでいるようだった。