キミの願いを
「え、なにが?」
琉唯が自分の服を見下ろせば、あたしもまた琉唯の服装を見つめた。
「周り見てみぃ」
言われたとおりに、よくよく見渡すと、琉唯の言葉の意味が簡単に理解できた。
そこには、いろんな衣装を身にまとったカップルたち。
浴衣、ロックバンド風、お嬢様と執事らしき格好……。
個性豊かな衣装がいっぱいで、中にはウェディングドレスを着たカップルもいる。
そんな中、あたし達は、イヌ耳メイドとウェイターという、学園祭中ならありふれたと言える格好をしている。
これは…むしろ普通すぎて、逆に目立ちそうな気さえするよ…。
「…けど、今から着替えに行く時間なんてないよ?」
「わかってる。しゃーないし、今持ってるものでどうにかするしか……」
琉唯にそう言われて、自分のポケットに手を突っ込んでみる。
あっ。