キミの願いを

すぐに手のひらにぶつかったそれを取り出してみると、あたしがよく使っている、何の変哲もない赤いハンカチ。


「………」



だけど、それを見て、ふいにひとつの絵が頭に思い浮かんだ。



…そーだ!



「ねえ、琉唯!これ、琉唯が使って」


あたしが差し出したのは、さっきまで自分がつけていたイヌ耳。


「はぁ!?なにが嬉しくて、そんなん」

「いいから!」


あたしは、半ば強引にそれを琉唯に渡した。

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