キミの願いを

体育館内は、予想以上に観客が多く、なんだか急に恥ずかしくなってきた。



ひとまず拍手が止まり、みんながあたし達に注目する。


かわいーっ、なんて黄色い声が控えめに聞こえることもあれば、同じ学年で顔見知りの子たちなんかは、驚いた顔をしながら、友達同士で何か話している。


あくまでカップルとして、琉唯と参加していることに不思議に思っているのかも。



「まず、これは何をイメージしたコスプレですか?」

そのとき、司会者の子が笑顔であたし達にマイクを向けてきた。



「あ、えっと、赤ずきんちゃんです。」


緊張のせいで少し震えた声で言った。


そう。

あたしの提案で、あたしは赤ずきんちゃん、琉唯は狼に扮している。


持っていた赤いハンカチを、赤ずきんちゃんのずきん代わりに。

メイド姿に使っていたイヌ耳は、狼の耳として琉唯がつけている。



「あの男子、かわいーっ」

ステージの近くのほうに座っている女の子のグループから声が聞こえてきた。



やっぱ、琉唯って一般的に言えば顔立ちが整ってるんだと思うし、騒がれても当然と言えば当然なのかな…。
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