キミの願いを

「あの子、可愛くね?」


そんな男子の声も聞こえてくる。


ちょ!琉唯って、男の子にも人気だったの…?


思いながら、琉唯のことをちらりと見たのとほぼ同時に、琉唯は突然あたしの肩を抱き寄せた。



えっ!?


かと思ったら、片腕はあたしの腰のあたりに、もう片腕は太ももの裏あたりにかけ、ひょいっとあたしを持ち上げてしまった。



ええーーーーーっ!!


まるで、おんぶされてるみたいな体勢で、あたしは、琉唯を見下ろす。


「る、琉唯!? 何してるのっ!」


もちろんあたしだけでなく、体育館内のみんなが驚き、ざわつき始めた。


そんなのお構いなしに、琉唯は、司会者の手からマイクを取り、ただ一言。



「以上です。」



それだけ言うと、そのまま足早にステージ袖へと戻った。

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